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球 ( KYU)

球 ( KYU)

俳句雑誌「球」を吉川林業の吉川邦子さんが送ってくれました。

3月に高知県大豊町の立川川沿いで行われた桜の植樹のエピソードが書かれていました。

過疎の村の活性化に関東高知県人会会長「金田準さん」がご寄付してくださったことが発端で、3年の月日がかかりましたが桜は「日本桜の会」から寄贈していただき、金田さんのご寄付は諸費用に計上させていただき、地主さんや地域住民の皆さんの志で深い山間に100本の桜は無事根付きました。

吉川邦子さんの随筆をご紹介します。


桜の苗木百本、苗木と言っても二メートル越えの大きな苗木(正式名は桜若木)で日本さくらの会から寄贈された。立川川の川添いの杉の伐採跡地へ植樹する事になった。
三月七日夕方から雨の予報の出る中、総勢三十五名の参加を得て実行された。小学生や保育園児を連れた父母も来ていた。私は杉や檜の苗木の植え付けを行った経験がある。苗を入れた大きなリュックを背負って、一本一本植え付け用の鍬で穴を掘り中の枯葉等のゴミを除いて苗を立て、回りに掘り上げた土を戻し苗木を持ち上げるように持って土を踏み固める。その作業を繰り返し一日中山を歩き回る。とても重労働だがこれが大きくなって立派な植林となり、将来家等の材料になると思うと楽しかった。

今回は桜だ。花を見て楽しむようになるには十年くらいはかかるのではないだろうか。鹿に食べられないかも心配だ。私のような高齢者は下で植付けをする男性を見るだけだった。最高齢八十八歳の男性も若者に混って鍬を振るっていた。山で暮らす人は足腰が丈夫で山を歩くのも慣れている。さすがだと感心する。若い人達は固い岩が出るところがあったりして少し難儀をしたようだが、記念の標柱も立て皆笑顔で記念写真に収まった。

発起人のマリンバ奏者の市川みどりさんも埼玉県から駆け付け作業を見守った。彼女は立川番所の近くで古民家を買ってお父さんを高知市から移住させ、彼女も三週間に一回は帰ってくる。第二の故郷だと言ってくれる。帰ってくる度、道端や山に四季折々に咲いている菜の花、雪の下、空木、藤、彼岸花等に目を奪われてきたという。立川は桃源郷だという。是非立川の道を花で一杯にしたいと言って、桜の苗木を貰えるので植える場所を探してほしいと頼まれたのが三年前。なかなか適地が見つからないでいたところ植林されていない伐採跡地があり、そこが県道から立川を挟んでよく見えるところなので山主さんに相談したところ快く承諾して下さり今回の運びとなった。

みどりさんは立川に来て以来、国重要文化財「旧立川番所書院」を活用した演奏会を催し、本物を聞く機会の無い私達に素晴らしい音楽を届けて下さった。又去年十一月には和太鼓と料亭濱長の芸妓さんの舞を見せてもらった。そのお礼に部落の人達数人で濱長へ出掛けお座敷遊びも体験した。冥土の土産が出来たと喜ぶ人もいた。

「みどりさん」と気軽に呼ばせてもらっているが世界を飛び回ってマリンバの女王とも呼ばれた方である。これからも過疎化が進む立川に人が集まる仕掛けをして頂いて、今回の様に皆が楽しめる機会を与えてほしいと思う。

桜が満開に咲く日を楽しみに一日でも長くこの地で頑張りたいと思う。予報通りの春の柔らかい雨が静かに山々を濡らし始めた。

【市川みどり音楽教室】
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