2019/10/01
父は高知の町の電気屋さんでした。
岡山から来るテレビの電波を狙って大豊の険しい山の頂にTVアンテナを付けてそこから深い谷を跨ぐように線を引っ張り向かいの山の村でもテレビが映るようにしたりしていました。
急な山道を背の高い父は大股で登って行きます。
父の足あとを踏めたら父と離れ離れにならないという願かけをしていた幼い私は、1ミリでもいいから踏めるよう全身をバネのようにしてピョンピョンと付いて行ったものでした、、、
そんな思い出が蘇ったのは92歳になった父の散歩に同行したからです。
「この橋の奥に坂本龍馬が水戸の藩士と会った場所があるんだよ、でもね、龍馬があまりに無知だったから水戸の藩士はかなり落胆して帰ったらしいね」と、説明しながら杖をついて登り坂を歩く父、、、
もうジャンプしなくてもその歩幅は悲しいほど小さくなってしまいました。
この道は愛媛に続く道ですが、父の背中は私がこれから歩む道を教えています。
心の中に道はあり父の足あともある、、音符の花を咲かせながら迷わず歩いて行こうと思います。